現実と空想
8月15日終戦日、毎日新聞俳句蘭に若手俳人2人の句が掲載されました。
豊里友行<鮮やかな原野遺骨に星のさざなみ>
1976年沖縄生まれ、今も沖縄にて戦争と戦っている。
山口優夢<火に触れしものは火になる敗戦日>
1985年生まれ
他に1991年生まれ越智友亮<昭和に戦前戦中戦後蝉時雨>があり、優夢さんの句を見ても、沖縄以外の戦後人にとって、戦争は過去のものである。
戦争を知らない世代が、戦争の句を作ったところで、それは空想でしかありえない。
しかし、俳句は遊びであるが、やはりその時代を反映したりする。
普段、何も思うことのない戦争を現実のものにするのはどのようにすればよいのだろうか?
やはり、豊里さんのように今も戦争をしている人の詩を読むしかないと思う。
何世代代わろうとしても、過去は変わらない。
今も戦争の代償を受け続け、戦っている沖縄は、日本の誇りであり、宝です。
現実を語る詩、空想の詩、どちらにしても読み手の心に伝えるものでなければ、それは詩とはいえないと思う。
豊里友行<戦争10句>
戦争のみんな巻き込む囀りか
洞窟の首絞める赤ん坊の蛍
脳揺らす飛行機雲の戦闘機
戦争の五体投げ込む試験管
石鹸玉洞窟の瞳と銃光る
戦争が沖縄泳ぐ余白なし
戦争の百足語尾から消され行く
洞窟に残る沖縄戦の蝉しぐれ
戦争のもう戻れない蝉の穴
蟋蟀が沖縄戦を絞り鳴く
三橋敏雄
あやまちはくりかへします秋の暮
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コメント
遅くなりました。
沖縄からだと毎日新聞は手に入らなくて残念です。
東京にいた頃、毎日新聞の販売所にお世話になっていたので悲しいです。
とはいえ楚良さんが採り上げてくれているので助かります。
米軍統治下、ベトナム戦争、イラク戦争と戦争の前線基地である沖縄の現状を思うとき終戦記念日などないと言いたくなる。
できるなら戦争の傍観者になるのではなく沖縄に連帯した米軍基地撤去の運動の声をあげてほしい。
俳句という詩形で共感していただけるとうれしい。
ただ沖縄を特別視するだけでは人殺しの米軍基地の加担者である。
重たい話ですが、ただ傍観するだけでは俳句の実感はこもらないはず。
終戦のない宿借りは基地の島 友行
投稿: とよチャンネル | 2010年9月13日 (月) 15時33分
いつもコメント有難う御座います。
ちょうど、尖閣諸島の違法侵入であっさりと中国に返還したのにはびっくりです。
これには本土の国民も怒り心頭です。
投稿: 楚良 | 2010年9月27日 (月) 22時35分